常磐快速線・成田線我孫子支線系統は今までに103系とE231系が導入されていますが、これらの他にも、過去に導入が検討されたことが商業誌の本職執筆記事内で明記された車両系列が存在します。
明記された車両・その1
鉄道ファン2004年7月号(通巻519号)において掲載された、東日本旅客鉄道(株)運輸車両部 副課長 白土裕之氏が執筆された記事「JR東日本 首都圏 車両運用プロジェクト(3)」において、以下のような記述があります。
昭和62年度は、昭和63年3月13日ダイヤ改正から常磐快速線用 103系の編成増強(10→15両化)用として50両、さらに横浜線・武蔵野線の増発用として30両が必要となったため、205系80両(10✕8本)を新造した。そして、これを山手電車区に配置し、同区の103系80両をねん出して、各線区に充当した。
当時、常磐快速線の車両増備については、従来の103系か、直接205系を投入するかを検討した結果、山手線は205系に統一した時点で到達時分の短縮可能なことと、冷房化の推進(昭和63年夏100%)などが図れることから、山手線に205系を投入した。
以上から、1987年度に常磐快速線などの所要編成数増に対応する為に205系を増備することになった際、常磐快速線は新造した205系を直接導入することが検討されたようです。
落成時期を踏まえると、史実では以下の編成となった車両の一部が、常磐快速線所要増の為に増備されていた編成に当てはまるものと思われます。
- ヤテ41編成
- ヤテ42編成
- ヤテ43編成
- ヤテ44編成
- ヤテ45編成
- ヤテ46編成
- ヤテ47編成
- ヤテ48編成
もし常磐快速線への直接導入が適切と判断されていれば、この中の5編成程度が常磐快速線向けとして新製されていたのかもしれません。
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— さにまる✈️🚃 (@WEsunnyGOGO) June 8, 2023
明記された車両・その2
時期は大きく変わり、鉄道ファン2015年5月号(通巻649号)に掲載された「平成27年3月14日ダイヤ改正にともなう JR東日本 車両の動き」においても、車両導入の検討を示す記述があります。
なお、同記事の執筆は東日本旅客鉄道(株)鉄道事業本部 運輸車両部 車両運用計画グループ 課長 白土裕之氏で、先に紹介した記事と同じ方による執筆です。
「上野東京ライン」の開業にともない。常磐快速線用E231系の不足を補う必要が生じた。新たにE233系を新造することも検討したが、既存のE231系との併合などを考慮し、車種統一した方が望ましいと判断し、三鷹車両センター所属のE231系
30両(10両✕3本)を捻出、5号車の6扉車(サハE230形)を外したうえで、20両(10両✕2本)のE231系を松戸車両センターへ転用した。なお、編成から外れた6扉車3両については廃車とし、さらに残りの7両の用途については別途、検討していくことにした.
以上から、史実ではE231系2編成の転入が選択された上野東京ライン開業に伴う常磐快速線の車両増備の際には、E233系の新造が検討されていたことが窺えます。
常磐快速線車両が配置される松戸車両センターは、当時既に常磐緩行線向けのE233系2000番台の配置があること、E231系との分割併合技術は東海道線・高崎線・宇都宮線(湘南新宿ライン・上野東京ライン)向けのE233系3000番台で実績があり、一見すると一定の合理性を保ちつつ充分に可能な選択肢ではあったように感じます。
しかし、「E231系0番台との分割併合機能を備えた通勤タイプのE233系」は存在せず、新規開発部分が想定できることや、実際にE231系と混用するにあたっては、E231系との分割併合の試運転が必要になるなどの手間が見込まれることから、技術的に可能かどうかではなく、実施するメリットがあるかどうかで見送られた選択肢なのではと思います。
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— さにまる✈️🚃 (@WEsunnyGOGO) June 9, 2023
コメント
205系や209系またはE501系だったら、あり得ましたね。E231系だと正直、近郊形に間違いのか思っていました。
機器更新したとはいえ、常磐線のE231系も4、5年でもう引退すると思います
もう4,5年で引退するとは、どのような根拠ででしょうか?何か大きな転換や経年劣化があふわけでもないのに全く、その必要性を感じないのですが
引退はしないにしろ、数年以内に三鷹区のE231系0番台と絡んで武蔵野線の209系を置き換えるのではと思います。