相鉄の新ブランドである「YOKOHAMA NAVYBLUE(ヨコハマネイビーブルー)(基本的に以下、YNB)」。2015年から開始された9000系のリニューアルから始まるこの車両塗装。日経のインタビュー形式の記事によれば22年度までに8割の車両をリニューアル・新製し、YNB塗装へと変更し、24年度までに全47編成をYOKOHAMA NAVYBLUEへとする計画(ソースは後述)です。
しかし、この記事はコロナ禍以前の2019年の3月や7月に配信された記事であり、昨今の情勢による減収でどうなるのかは分かりません。また、この記事が本当なのかも正直分かりませんが、この報道内容やこれまでの車両動向を軸に話していこうと思います。
これまでの報道
2022年度に「約8割をYOKOHAMA NAVYBLUE」の色に
12000系が公開された当時、相鉄HD取締役副社長執行委員の方が日経の取材に対して、「現在は9000系が5編成、20000系が1編成ですが、12000系を含めて順次増やしていき、22年度には全車両の8割程度をこの色にしていく予定です(当時)」と回答しています。(2019年3月28日配信)
「全47編成」のYOKOHAMA NAVYBLUEへの統一
相鉄直通開業前直前の2019年夏の日経の記事では、会員ではないため全文が見れず、情報源が定かではないものの、「2024年度をメドに鉄道車両の全47編成をブランドカラーの濃紺色に統一」との旨の記載があります。なお、編成表からは2022年4月現在42編成が在籍しており、今年度は21000系が5編成投入されることになっていてます。これにより、2022年度までには全47編成が揃うことになるため、2019年に当てずっぽうに「相鉄が保有する全47編成がYNB塗装にする」と報道したとは考えにくいです。
YOKOHAMA NAVYBLUEへの塗装更新、現状は?
リニューアル前と内外装共に変わり果てた9000系
初めて『YOKOHAMA NAVYBLUE』塗装を纏ったのは9000系です。9000系のリニューアルのメニューはどうだったのか、今後の本計画の鍵を握りそうなのでおさらいしておきましょう。
▼9000系のリニューアル(参考・Wikipedia)
車体塗装はもちろん、床材や化粧板、シートの一部をスコットランド製を採用するなど、車内サービスの向上と車体を更新し、「新型車両」と言われても納得するような仕上がりになりました。第一陣は9703×10で2015年より開始、その後9701×10を除いた全編成が、2019年にリニューアルが完了しました。残念ながら、リニューアル対象から外された9701×10は2020年12月に廃車されています。
YNB塗装による斬新なデザインによるイメージアップ戦略ですが、もちろん車両の更新には時間とコストをかなり要します。さらに、コロナ禍によるステイホームなどによって、減収なのは明らかであり、YOKOHAMA NAVYBLUEへの塗装更新等の計画は、直近の車両動向から迷走しているように、受け取れます。
1編成しか行われていない8000系の "中途半端な" リニューアル
8000系のYNB編成は8709×10編成のみで、2019年12月中旬頃より運用離脱し、翌年3/13に運用復帰しました。ただし、9000のような大胆なリニューアルは施されず、中途半端な仕上がりとなっています。
8709×10
53ウ(2)で運用開始しました。 pic.twitter.com/efihLnwq2y— 旭区民 (@21_3902) March 13, 2020
床材や化粧板などは交換されず、LCDへの更新も見送られました。が、座席やつり革だけ更新されなど、最小限に抑えられているのが印象です。前述の通り、リニューアルはこの編成のみで、8701×10から8707×10は廃車済みですが、21000系の製造数や報道内容から8000系はしばらく安泰と思われます。
迷走する10000系のリニューアル
2019年10月に相鉄10701×10が長野総合車両センター(以下、NN)へ甲種輸送され、同センターへ入場し、機器更新など行い、翌年の1月にNNを出場してかしわ台車両センターへと帰還し、5~6月に夜間試運転を行った後、リニューアルのためかしわ台車両センターに入場しました。その際、車体のYOKOHAMA NAVYBLUE化はもちろん、内装もそれに準じた諸改造が何点か行われましたが、8000系同様、LCDや床材等の更新は省略されました。なお、9月からはリニューアル後の日中の本線試運転が始まり、11月には運用復帰しました。8000系のような車内改装に留まりましたが、8000系と比べると違和感は少ない印象です。
更に、2020年秋には10702x10が10701x10と同様の改造工事を施工するため、NNへ甲種輸送されました。翌年3月には機器更新等の更新工事を終えて、NNを出場し、厚木(かしわ台)まで甲種輸送され、相鉄線へ帰還しました。10701x10同様のYOKOHAMA NAVYBLUE塗装や、それに準じた諸改造が行われると予測されましたが、塗装の更新等を省き、灯具等の変更に留まり、11000系と似た姿となったので、一際話題を寄せました。今もなお、その姿で今日に至ってます。
更に、昨年12月上旬には10000系で初めて8連(10703×8)がNNへ入場し、以前の2編成と同様の機器更新等を行い、3月下旬に同所を出場し、今後のリニューアル等のメニューに注目が集まっています。
さらに、2022/4/24現在、従来の10000系リニューアルメニュー同様に前照灯が撤去されています。YNB化をしないのであれば、10702x10と同様のメニューになりそうです。
どうなる?今後の本計画
まず、2024年度までに全編成をYNB化するのは不可能だと思います。10000系の場合はリニューアルを先行し、そのうちYNBへと塗装を更新するものと思われます。10000系の機器更新は冬にNNにて施工されているため、今年の冬も同形式が入場するのかも注目です。
9000系のリニューアルにかなりの予算を要したことや、コロナ禍による経営悪化などで、今後は8709×10や10701×10のような、9000系と比べ簡略化されたメニューになると思われます。
また、YNB化に関する詳しい話題は報道のみで、公式から詳しいニュースは発表していません。今後の報道や事業計画・設備投資計画に注目です。
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