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テセウスの船と化した鉄道車両

車両技術
西武401系の原型を無くすほど改造した近江鉄道700形は書類上全く別の車両を元としていた

模型をメインに撮影や乗車など鉄道全般に興味があります。

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鉄道車両には平成初期頃(名鉄に限り2000年代後半)まで旧型車両の床下機器を流用し、車体を新製した車両が多く登場していました。
更に一部の鉄道事業者では流用元となった車両から新製した車両に車籍を引き継ぎ、書類上改造扱いとした車両も存在します。
今回は書類上改造扱いした車両の中から車体新製と床下機器の更新を別々に行った結果登場時の部品が(ほぼ)残っていないと思われる車両や、車籍のみ引き継いだものの実態は全く別の車両といった、まるで「テセウスの船」のような鉄道車両をご紹介しようと思います。

東武200型204F・205F

東武伊勢崎線系統の(当時)急行「りょうもう」で使用されていた1800系を置き換えスピードアップし、特急に格上げするために登場したのが東武200系(200型・250型)です。そのうち200型は元日光線系統の特急で使用されていた1700系・1720系「DRC」の主要機器・車籍を流用して製造されました。今回のメインとなるのはその中でも1700系を種車とする204F・205Fです205Fは1956年製の車両を、204Fは1956〜1957年に製造された車両を種車としており、なんと書類上の車齢は70年近くになります。

1701F(DRC時代)を種車とする205F

1700系自体、1971〜1972年頃に一度車体の載せ替えを行っており(その際DRC化)、さらにその後も1978〜1979年頃に主電動機・駆動装置・台車の変更も行ったようなので「DRC」としての引退時点では登場時の機器が制御装置程度ではなかったのではないかと思われます(尤も予備品と交換されている可能性もあると思います)。その後200型への更新時、最後まで残っていた(可能性のある)登場時からの部品である制御装置を交換(界磁添加励磁制御化)したのでここで1700系改め200型204F・205Fは完全にテセウスの船と化したものと思われます。
なお、205Fは現在「りょうもう『カルピス』EXPRESS」となっており、運行期間が2024年3月31日から約3年間とされているため車齢70年を超えることがほぼ確定的となっています。

東武205Fが「カルピス」塗装に
南栗橋に入場中の東武200型205Fですが、3月31日より運行開始予定の「りょうもう『カルピス』EXPRESS」塗装に変更されていることが確認されました。なお、同編成は入場前1800系リバイバルカラーだったため、そちらの方が見納めとなった形
車齢約70年!東武204F・205Fに登場時の部品は残っているのか?
<エスセブン さんからの投稿(2024/02/19)> 1700・1720系「DRC」の一部床下機器を流用し、車籍も同形式から引き継いで製造された東武200型。特に204F・205Fは1700系からの改造更新扱いで今年で書類上205Fは...

箱根登山鉄道モハ1形・モハ2形

箱根登山鉄道の最古参車両であるモハ1形・モハ2形は車体は1950頃に製造されたものですが、ルーツをたどるとモハ1形は1919年に登場したチキ1形、モハ2形は1927年に登場したチキ2形が元となっています。特に現在のモハ1形に関しては車齢100年を超えています

もともと両形式は木造車体として製造されましたが、1950年の箱根登山線と小田急線との直通運転開始に伴い直流600Vと1,500Vに対応させるために現在の車体に更新されました。

その後は一部車両で駆動方式をはじめとした床下機器の変更を行い現存する車両はすべて更新された車両であるため、これもまたテセウスの船と呼べるものだと思います。

画像のモハ2形109号は2021年に引退しました

【迷/名列車で行こう】書類上では今年100歳! ~箱根登山鉄道モハ1形~

 

近江鉄道220形

近江鉄道220形は西武701系の車体を切りついで17m級化した大胆な改造をしたことで有名ですが、220形に限らず近江鉄道の多くの形式はなんと先代車両から車籍を流用しています。これには機器の入れ替えによりテセウスの船になったものもありますが、中には車籍だけ流用をした全く別物の最早テセウスの船とすら呼べない物も存在します
詳細を全て書くと書ききれない量になりかねないため省略させていただきますが、一例としてモハ224号車(2014年廃車)は遡ると1914年(大正3年)製の鉄道省(後の国鉄・JR)デハ6340系デロハ6138を種車としていて、車齢100年まで活躍したようです。
なお、現在は大正14年に製造された武蔵野鉄道(現在の西武鉄道の前身)モハ132をルーツとするモハ226号車が残存し専ら工臨などで使用されています。

事業用車両として残存する220形モハ226
大正14年製の武蔵野鉄道モハ132をルーツとする

近江の車歴

近江鉄道700形・800形

近江鉄道で主力車両の一つとして活躍している800形は西武401系を譲り受けて登場した車両です。

700形は800形と同じく西武401系を譲り受けた車両ですが、原型がわからないほどの改造を受け、流線型の前面になっています。

しかし、その車歴を見ると先述の220形同様、近江鉄道の旧型車両から車籍を受け継いでいます

言ってしまえば(西武401系の前身の411系として)1960年代に製造された車両を書類上は明治時代や大正時代に製造されたと言っているようなものです

参考として現在も活躍する800形806Fのモハ1806号車はなんと明治31年に製造された「は8」という客車をルーツとしているようです

近江鉄道恐るべしです。

 

近江鉄道800形806F
手前のモハ1806号車の車歴はなんと1898年(明治31年)から続いている

近江の車歴

終わりに

今回の記事を書くにあたってできる限りで調べたことや筆者の知識を元にしましたが(特に近江鉄道関連は)細かいことが書ききれていないと思います。

さらに奥深く調べてみるとまた新たな発見もあると思うので気になるものがあればぜひ調べてみてください。

また、今回ご紹介した車両以外にも旧型客車・旧型国電・東武3000系列などなど色々な車両で同様な実態もあると思うのでぜひコメントにてご紹介いただければ幸いです。

コメント

  1. 東京都交通局の7700形もテセウスの船のような車両と言えるでしょう。
    元々は7000形から改造された同車ですが、7700形の改造前にアルナ工機製の車体に一度更新しています。そのため、7700形は1955年頃に7000形として製造された部品などはもう存在しないと思われます。

  2. 今は亡き八高線103系3000番台もこれに近いかもしれません。もともとは旧国72系ですが、まず車体を103系と同等の物に取り替え、後年にさらに本物の103系の部品を寄せ集め(一部は新製)、正真正銘の103系に改造されました。

    • 西武旧101系の機器を流用した西武9000系もこの括りに入りそうですね
      VVVF制御化改造を受けた際に当時投入されていた20000系と機器類を揃えているので、旧101系由来の部品が残ってるかどうか怪しいですね

    • 小田急の先代(初代)4000形も、この範疇になりそうです。
      新製の20m車体に吊掛駆動・中型車体各形式の走行用機器を装着~後年に走行用機器を2400形のそれに交換し高性能化(とともに冷改)、ですものね。

    • 国鉄が車体更新で作った62系と72系970代は、車体台枠を種車(72系)から再用しています。ですので、その車体を生かした103系3000番台も、テセウスの船とは言えません。

  3. ちょっと違いますが名鉄の2230系もある意味テセウスの船かと。
    1600系→1700系→2230系と改造や編成替えの結果、最初の1600系は一部の台車などの機器しか残っていませんね。

  4. 近江鉄道の800形置き換えにVVVF車の導入で、三菱SiCでしょうか。

    • 先日引退した8620(58654)も復活時にボイラー交換・後に台枠歪み発覚で大枠も交換とほぼ入れ替わってしまっていました。
      車輪類は復活前現役時に循環整備だっただろうし。

  5. 京阪石坂線の600・700型も改造遍歴を遡れば京阪創業時の1型由来の車両があったかと?(実際には車体→下回りの順番で更新されてるので文字通りテセウスの船状態だが)

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