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215系5連・Tc車の分かっていること

車両技術
付属編成と連結するかもしれなかった10号車クモハ215形100番台(写真はコツNL-4編成のクモハ215-104)
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計画が実現しなかった215系の付属編成ですが、実は編成構成や制御付随車などの諸元は一部商業誌・機関誌で言及されており、登場が叶わなかった車両としては比較的多くの情報が明らかにされていました
一次ソースは既に絶版・非売品故に一部図書館などでしか閲覧できない為か、大半がネット上で周知されていないような印象がある為、この場を借りて紹介したいと思います。

(はじめに)計画された215系の付属編成

 前提情報ですが、215系は実際に登場した10両編成を基本編成とした15両編成が組成できるよう、5両編成の付属編成が計画されていました。
現車に備えられた電気連結器はこの付属編成との併結運転に対応する為に装備されたもので、長大トンネル区間走行に対応する為に設けられた前面貫通扉も、併結運転時の非常時通り抜けへの対応というのが主旨でした。
結局、付属編成は製造が見送られ、計画上の存在に留まったまま、基本編成となる筈だった10連4編成も既に引退・全車両が解体されています。

 情報媒体で付属編成が言及される際は、上述したような『計画があったが実現しなかったエピソードの紹介』に留まる場合が殆どですが、極一部の商業誌・一般販売されない機関誌などでは、この付属編成の仕様に関する情報が掲載されており、実現していたらどのような車両になっていたのか、ある程度推定することができます

付属編成の車種構成

 5両編成となる付属編成は編成構成・各車両車種が言及されており、各車両を解説します。

(制御)電動車の11号車・12号車

 11,12号車はクモハ215・モハ214形0番台で、基本編成1,2号車と同形式の制御電動車を含む奇数設計・偶数向きユニットです。付属編成はこの2両のみが電動車の2M3Tで、同じ2M3Tの211系1000,3000番台とは電動車位置が真逆、併結運転時は9~12号車に電動車が集中していた事になります。
 コツNL-1編成の解体直前、先頭車両同士が連結した姿が目撃されていましたが、車種的観点から、基本編成・付属編成が併結した姿が忠実に再現されていた状況だったと言えるかもしれません。

中間付随車の13号車・14号車

 13号車はサハ215形0番台、14号車はサハ214形0番台で、前者は3.8号車と同じトイレ付サハ、後者は6,7号車と同じトイレ無サハです。付属編成でトイレを持つのは13号車が唯一で、トイレ設置部分に貼り付けられるロゴマークは、付属編成ではこの1両の左右2箇所のみだったと思われます。

制御付随車の15号車

 15号車は制御付随車・Tc車となるクハ215形100番台とされており、唯一基本編成に存在しない付属編成独自の車両形式(即ち形式自体が登場していない)となります。
100番台という付番法則は、東海道線基準で熱海方を0番台、東京方を100番台とする185系クハ185形に倣ったものと説明されています(これは基本編成も同様)。

185系大宮総合車両センター編成表(最新版)
2022年5月13日現在で、10連3本、5連2本、6連1本、7連2本、計60両が在籍しています。【過去ログ】2006年03月(~2013年03月) - 高崎車両センターから車両が転入。最大で7連9本の陣容で推移。20

 東京方に連結された事で、クハ215形は0番台が存在せず、連結位置は215系の試作車とも言えるクハ415形1900番台(クハ415-1901)と一致していた事になります。
同じ制御付随車でもある為、設計的観点から、215系の中で最もクハ415形に近い車両だったのかもしれません。

たった1編成JRに存在した「先頭だけ普通車2階建て」 常磐線“丸い頭の415系”の教訓 | 乗りものニュース
JR常磐線にはかつて、先頭1両のみが普通車2階建てという列車が存在しました。本数はたった1編成、先頭車両の形式は「クハ415-1901」です。JR全体でも唯一無二といえる存在でしたが、どのような経緯で誕生したのでしょうか。

制御付随車の仕様

 唯一未成形式となってしまったクハ215形100番台も、一部機関誌に掲載されている諸元表内に記述される形で、仕様に関する情報が明らかにされています。

定員・重量

 定員は、他の車両では設定がない数の『96人』とされています。
2階建て構造の一階を潰したクモハ215形が64人である事を踏まえれば、クハ215形が2階建て構造でない可能性は考え難く、まずクハ415形のような2階建てだったと見て間違いないと思われます。
これにより付属編成定員は512人となり、基本編成(1010人)と併結した15両編成では1522人になると記述されており、輸送量の更なる増加が見込めた事が窺えます。
 一方、重量は『35(t)以下』とされており、やや抽象的な表現で言及されていました。
諸元表自体も、重量の見出しは『予定重量』と記述されており、クハ215形のみ設計未確定部分が大きかったのかもしれません。

台車・その他

 台車形式は『TR241D』とされており、他の付随台車が『TR241A』とされる中独自の付随台車を装備する設計だったようです。
ただし、こちらは10両編成現車の付随台車が『TR241D』だったという記録があり、現車とは異なるデータになっているかもしれません。

DT56C TR241D / JR東日本215系|台車近影|鉄道ホビダス
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 その他、車体寸法に関するデータは普通車(クモハ・モハ・サハ)と同一で、全長20m・車体幅2.9m・車体高4.07m(PT折りたたみ高さ3.98m)・台車中心間距離14mとされていました。

分からなかった部分

 比較的多くの情報がまとまっている215系の付属編成ですが、複数の文献を調べても得られなかった情報もありました
私が見落としているだけであれば良いですが、私人が確認できる資料では一切説明されていないのであれば、今後明らかにされる機会自体怪しい疑問点になるのかもしれません。

制御付随車の形式図

 一つは未成形式であるクハ215形100番台の形式図です。
上述したように諸元表にも掲載され、車両の仕様に関する情報はまとまっており、設計が実際に行われていた、ある程度進行していたと思えるのですが、形式図が掲載された文献は見つかりませんでした。
 複数の情報に基づいて考えれば、唯一無二の姿をしていることが推定できる為、その詳細な姿が気になる所です。

ATC対応の可否

 次に、ATC対応の可否です。
付属編成の情報が詳細に語られる資料はほぼ全てがATCに対応する2次車が登場する前の資料で、関連付ける記述自体が存在しない状況です。
 10両編成は過去にそのATC装備を活かし、山手線を自力走行した事が知られていますが、付属編成はこれができなかった可能性が残っているかもしれません

21世紀記念列車 山手線駒込駅通過シーン

登場しなかった理由

 最後に、そもそも付属編成が製造されなかった理由です。
付属編成の話題が言及されたらまず解説される部分ですが、その理由まで解説している文献はありませんでした。
 15両編成・付属編成が不都合な部分という観点からは、215系の走行機会が多い東海道貨物線のライナー用ホーム(茅ヶ崎駅など)が10両編成までしかドアを開くことができないことは関係している可能性があるかもしれません。ただ、その場合はそもそも車両用途自体が15両運用・付属編成と相性が悪く、付属編成が計画された理由が不可解になるように思います。

参考文献

『車両技術』日本鉄道車輌工業会
『電車』交友社
『電気車の科学』電気車研究会

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