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車両情報システムの源流―MON装置

車両技術
E131系に搭載されるMON25型。

物理が大好きな学生です。吹奏楽部でチューバを吹いていたりします。

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現在、JR東日本が新たに新製する車両のほぼすべての運転台には、モニタ画面が備わっています。例えば、E235系には3つの画面が、E131系の運転台には1つの画面が備わっています。これらのモニタは、「車両情報システム」のモニタです。現在のE235系はINTEROS、E131系はMON25と呼ばれる車両情報システムが搭載されています。今回は、JR東日本の「車両情報システム」の原点たるMON装置についてご紹介します。

車両情報システムの源流たるMON装置

E131系に搭載されるMON25型。

MON装置は、主に3つのタイプに分類できます。

乗務員支援モニタ 指令伝送システム
モニタ装置 制御伝送装置 車両情報制御装置
主な機能 車両情報のモニタリング +制御指令(直列伝送) +制御指令のループ伝送化

乗務員支援モニタ(MON3型)

JR東日本初の新形式車両となった651系(1988年)から本格的に搭載されるようになった「乗務員支援モニタ(MON3型)」は、それまで乗務員が携帯していた上の時刻表をICカード(仕業カード)によるデータ化を実現し、輸送業務の効率化を図りました。また、以下のような機能を実現しました。

  • 故障や異常発生時の運転台での警報発生と内容の表示
  • 運転士および車掌補助のための各種情報の表示
  • 応急マニュアルの表示
  • サービス機器の制御及び状態表示
  • 故障時の機器動作状況の記録
  • ATS運転情報の記録
  • 乗車率情報の記憶・印字出力
  • 力行・回生電力の積算
  • 試運転時の車両性能の収集
  • 交直及び交交セクションでの力行の一旦切り及び回生開放
  • 主変圧器2次側短絡時のABB再投入禁止
  • 車上試験・セルフチェック

当初はブラウン管による表示でしたが、経年劣化に伴い液晶化されたこの装置は、後の251系・253系・215系にも搭載されました。253系では、分割併合の実施に伴う対応や、補助電源のMG(電動発電機)からSIV(静止型変換装置)への移行に伴う対応が行われました。また、ATCの搭載にも対応し、自動放送やマップ地図表示機の設置も行われたため、地点情報の提供にも対応しました。また、205系500番台にも後付で設置(MON5型)されました。

制御伝達装置(MON8型)

901系・209系から搭載されるようになったMON8型は、MON3型の機能に加え、力行・ブレーキ指令のシリアル伝送を図るシステムとされました。主な機能は、

  • 仕業カードによる乗務行路・列番・時刻表の入力・表示
  • ATC・ATS-P送受信機用の列番情報設定
  • 故障や異常発生時の運転台での警報発生と内容の表示
  • 運転士および車掌補助のための各種情報の表示
  • 応急処置マニュアル・異常扱いマニュアルの表示
  • 乗務員支援のための音声支援機能
  • 行先表示機・運行番号表示機・車内案内表示器への表示内容指令
  • 窓の自動閉制御
  • サービス機器の制御及び状態表示
  • 故障時の機器動作状況の記録
  • 試運転時の車両性能の収集
  • 保安装置の運転情報の記録
  • 走行距離及び力行・回生電力の積算
  • 車上試験機能(各機器内蔵の自己診断機能と協調)
  • 試験結果の収集
  • 力行・ブレーキ指令の直列伝送
  • VVVF・SIVのリセット及び開放指令の伝送
  • 電源誘導回路の制御

また、それまでの乗務員支援機能の拡張(時刻表表示をE電区間・M電区間の双方に対応)や、異車種間の併結対応(E217系ー113系)、振り子装置の制御(E351系)を盛り込みました。つまり、乗務員支援モニタの機能を拡張したものが、制御伝達装置というわけです。

車両情報制御装置(MON11型)

1997年にデビューしたE653系から搭載された車両情報制御装置(MON11型)は、MON8型の高信頼性化(ループ型伝送システム)が図られました。これは、E991系「TRY-Z」により試験が行われたMON9型をベースとし、CIの回生アンバランス補正用データの演算、接触器動作回数の積算・記録、空調温度制御機のリセット機能などが追加されました。また、E26系(「カシオペア」用)にも搭載(MON13型)されました。

TIMS・INTEROSへの進化

E231系500番台に搭載されるTIMS。

MON装置を更に発展させたものが1998年デビューのE231系900番台(元209系950番台)から搭載されたTIMSです。TIMSは、MON8型をベースにシステムの簡素化と信頼性向上を目指し開発されました。また、2015年からデビューしたE235系からはさらにそれを発展させたINTEROSが搭載されています。TIMS・INTEROSについてはまたの機会にご紹介します。
現在では、E217系などMON8型を搭載していた車両はMON19型へと更新され、E131系など最新のMONを搭載する車両にはMON25型なるものが搭載されています。またMON装置は、現在のJR東日本の車両には欠かせないTIMS・INTEROSの原型でありながら、他社の同様の装置・TIS(東京メトロ)やTIOS(小田急)などにも強い影響を与えました。

おわりに

最新のE131系にも搭載されているMON装置ですが、一体MON装置とはどのような装置なのか、改めて学び直したいと思い今回記事を執筆するに至りました。E131系の導入が噂される仙石線ですが、ATACSの搭載と相性が合うのかどうかも、一つ注目すべき点だと思います。(東京臨海高速鉄道70-000形の例があるので大丈夫だと思いますが…。)

参考文献

鉄道ジャーナル社・「鉄道ジャーナル」No.455号(2004年9月号)より「JR東日本における車両情報システム その開発から現況 将来の展望」(JR東日本運輸車両部 車両開発プロジェクト 菅谷誠)

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コメント

  1. mipsparc より:

    はじめまして。Twitterでもご連絡いたしましたが、いくつか気になるポイントがございましたので、僭越ながら指摘させていただきます。

    「205系500番台にも後付で設置(MON5型)されました」について、MON5はFC98を用いており205系500番代の初期装備です。(出典:鉄道ファン1992年1月)

    「MON8では〜異車種間の併結対応(E217系ー113系)〜を盛り込みました」これはクハE216-2002に限定して装置を搭載して試験したもので、MON8とはあまり関係がありませんし、全車に装備されているような性質のものではありません。単なる読み替え装置と考えるのが妥当と思います。

    制御伝達装置と車両情報制御装置には、明確な違いは見いだせませんでした。MONの数字が大きくなるごとに進化するというのは、誤った認識かと思います。その車両に合わせて必要な装備を搭載するまでのことだと思います。(主観ですみません)

    「E235系からはさらにそれを発展させたINTEROSが搭載」技術的に発展はもちろんしているのですが、系譜にあるのかというと疑問符がつきます。INTEROS-AとINTEROS-Cが…というのは野暮でしたね。

    「MON装置は、現在のJR東日本の車両には欠かせないTIMS・INTEROSの原型でありながら、他社の同様の装置・TIS(東京メトロ)やTIOS(小田急)などにも強い影響を与えました」独自研究を押し付けてしまうのは恐縮ですが、 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/TIMS にあるのが代表的な車種ですが、多くは影響どころでなくTIMSをカスタムした(PLATINAプラットフォームで開発された)ものです。

    「TIMSはMON8型をベースにシステムの簡素化〜」主目的は、さらなる引き通し線の削減とされています

    重箱の隅をつつくようですが、MON1(200系新幹線)や、100系新幹線向けモニタ装置でも、時刻表表示や故障情報表示など、見た目は劣るものの機能は同等なものが得られていましたので、言及していただけるとより良かったかと思います。

    現状まとまった情報がインターネットにない中、論文集などを漁るしかないとおもいますが、続編を楽しみにしております。(拙著も多少参考になると思います)

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    • ととめ より:

      ありがとうございます。存じ上げていなかった情報多数いただきありがとうございます。後日修正記事を公開いたしますので、その際はよろしくお願い致します。

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