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東急2000系の機器更新と大井町線転用-③9020系化と大井町線転属完了

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車両動向
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本稿では3回に分けて、東急2000系の大井町線への転用と機器更新工事について考察を交えつつ解説しています。最後となる第三回では、2018年後半から2019年にかけて、機器更新を経て2000系全3編成が大井町線へと転用されていった際の動向について解説していきます。

<連載状況>
東急2000系の機器更新と大井町線転用-①概要と初期の噂
東急2000系の機器更新と大井町線転用-②2003Fへの機器更新施工
東急2000系の機器更新と大井町線転用-③9020系化と大井町線転属完了(本記事)

2003Fの再入場と、暫定5両編成での出場

2018年3月にサハ2両を除く8両への機器更新を施工されて以来10両編成で試運転を繰り返していた2003Fは、わずか2か月後の2018年5月23日に長津田車両工場に再入場しました。そして2018年9月14日終電後には大井町線向け5両編成となった2003Fが、長津田車両工場を出場しました。なお、2018年3月出場時に全般検査が施工されたサハ2両は、このタイミングで廃車・解体となりました。

特筆すべき点として、このときの出場回送は大井町線所属の8500系8638Fの牽引により行われました。2000系の転用にまつわる一連の流れにおいて2000系が長津田車両工場を牽引により出場したのはこの時のみでした。そもそも、他社向け譲渡改造車が長津田車両工場をデヤによる牽引で出場した事例は過去に少なからずある一方で、池上線・多摩川線所属車を除く東急線所属車両が牽引により出場するのは稀有な事例であり、ましてや営業用車両による牽引での出場は非常に珍しいと思われます。しかし、なぜこの時に限り牽引車が必要とされたのかは不明です。

暫定5両編成での出場・営業入りの理由

なお、第一回で触れたとおり大井町線への転用にあたっては2002Fの中間デハから改造された単独M車を1両組み込む計画でしたが、この時はまだ2002Fの改造が完了していなかったため、本来ユニットM車であるデハ2303が暫定的に単独で編成に組み込まれました。2018年11月16日には2003Fがこの暫定5両編成で大井町線にて運用を開始しています。

2003Fが単独M車の改造を待たずに暫定5両編成で営業入りした理由の一つとして、2000系転属に伴う置き換え対象であった8500系4編成の検査期限が近づいていた点が挙げられます。大井町線所属の8500系は検査周期の延長のため、少なくとも2018年の一時期にかけて入れ替わりで休車措置が取られていました。また、2017年から2019年頃にかけて大井町線所属の9000系に対してデジタル無線対応工事ならびにホームドア連動用の戸閉制御切換装置設置工事が行われていたという情報があり、このために予備車を確保する必要があった可能性があります。

実際に当時の大井町線は車両のやり繰りが逼迫していたようで、結局8500系4編成のうち8638Fは2018年11月に全般検査を施工され出場したものの、わずか5か月後の2019年4月に運用を離脱し廃車となっています。

9020系への改番・大井町線への転属完了まで

2001F・2002Fの入場と9020系の登場

時系列は前後しますが、2018年7月13日には2002Fが、2018年10月3日には2001Fが長津田車両工場へ入場しました。これら2編成は、2018年6月に搬入された田園都市線向け2020系2124F・2125Fによって捻出されたと考えられます。そしてこのうち、2002Fに組み込まれていたパンタ付き電動車であるデハ2202、デハ2302、デハ2402が単独M車へ改造されています。この点も、第一回で触れた室内灯LED化にもとづく予想と整合的です。

そして2018年12月23日終電後には、2002Fが大井町線向け5両編成となって、9022Fへ改番のうえ長津田車両工場を出場し、長津田検車区まで自力回送されました。第一回で触れたとおり、元2003Fのデハから改造されたユニットM車2両と、元2002Fのデハから改造された単独M車1両を組み込んでいます。9022Fは9020系への改番1本目であり、ここへきて初めて9020系という形式名が明らかになりました。理由は不明ですが、出場時は車番が隠された状態で回送されています。

ちなみに、2020系の登場時から2000系の転属に伴う改番自体は前もって予想されていました。これは、将来2020系31本目の2151Fが登場すると2000系との重複が発生するため、これに先立ち2000系の改番は避けられないと考えられたためです。なお、2019年時点では2020系を32編成投入する計画であったことがのちに「東急電鉄 1989-2019」(イカロス出版)において明らかにされていますが、実際には2150Fまでの計30編成で増備が完了しています。

2003F改め9023F出場

一方、5月に出場した2003Fは暫定5両編成のまま2018年11月から2019年1月にかけて大井町線で運用されていましたが、2019年1月7日に本来の組成への組み換えのため長津田車両工場へ再び入場しました。入場後、暫定的に組み込まれていたデハ2303を、2002Fから改造された単独M車であるデハ9223(元デハ2302)と差し替えられました。このあと一旦組成が元の暫定5両編成に戻され8640Fの運用離脱と入れ替わる形で再度運用入りしましたが、2019年2月1日に再び入場し、組成変更・9023Fへの改番を受けて2019年2月12日に出場しました。このあたりの動きもおそらく当時の大井町線の車両のやり繰りが逼迫していたことと関係があると思われます。

大井町線転用の完了

その後、2019年2月11日には9022Fが、2019年2月18日には9023Fが相次いで営業運転を開始しました。2019年3月19日には2001F改め9021Fが大井町線向け5両編成となって長津田車両工場を出場し、2019年3月26日に営業運転を開始したことで、2000系の大井町線転用・機器更新に関する一連の動きは幕を閉じました。全3編成が9020系へと改番されたことで、2000系は廃形式となりました。なお、2000系改め9020系3編成の大井町線への転用と、2018年3月のダイヤ改正における大井町線各駅停車の所要本数減によって、大井町線に在籍していた8500系4本は全て廃車になり、大井町線所属の各駅停車向け5両編成は9000系・9020系に統一されました。

おわりに

2015年頃から噂のあった2000系の大井町線への転用ですが、約4年の時を超えて2019年、2000系改め9020系全3編成が大井町線に集結しました。見た目はほぼ同一の兄弟車9000系に混ざりつつ、外見からは想像もつかない現代的なサウンドを奏でる異端車として現在も活躍しています。

一方で近い将来の大井町線への新型車両の投入が明らかになっており、9020系についても先行きが危ぶまれていましたが、9000系・9020系ともに西武鉄道へのサステナ車両譲渡の対象に含まれていることが先般明らかになりました。この一件は近年稀にみる大手私鉄間の車両譲渡として話題を呼んでいますが、制御機器にSiC-VVVFを搭載した車両が譲渡されるという点でも非常に珍しい事例となりそうです。大井町線での活躍が近く見納めとなることは残念ですが、田園都市線、大井町線を経て西武線での第三の人生を歩むことになった9020系の、末永い活躍に期待したいです。

西武サステナ車両は「東急9020系も譲受」他(広報取材)
西武鉄道のサステナ車両(東急9000系4連・小田急8000形6連計約100両譲受)に関して、西武鉄道広報への取材を明らかにした記事によると、東急大井町線で9000系と共に運用される9020系(元2000系)も譲受対象となること、6両編成の定

 

参考文献

  • 鉄道ファン2018年6月号(交友社)、2018年5月21日
  • 東急電鉄 1989-2019(イカロス出版)、 2019年8月21日

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