JR東海の廃車回送先を反映するにあたって、解体場所は「西浜松」「浜松」のほか、浜松運輸区、西浜松電留線、静岡車両区浜松派出と、様々な表現が混在しています。
色々調べましたが、なかなか結論が出ませんでしたので、こちらに私見をメモしておきます。
浜松界隈の解体事情
解体場所を決める行為は非常に野暮で、車体がどの段階まで裁断されれば解体なのか、という終わりのない議論になってしまいます。
しかしながら、浜松界隈はシンプルで、浜松駅着の回送列車で到着し、車体も台車も裁断された状態で西浜松駅からトラックで搬出されます。解体作業は浜松機関区の跡地で行われており、過去の配線図では機5番線とされている線路です。
浜松機関区は浜松駅からも入区できましたし、西浜松駅から、更には高塚駅からも構内のみを通って入区できました。
分断された浜松機関区
線路の名前の通り、解体待ちの車両が留置されている線路と解体作業が行われている線路は、機関車用の設備でした。機1~3番線には交番検査庫、機6・7番線は仕業検査庫があり、いずれも機関車用の設備となっていました。
2024.04.16
西浜松周辺
役目を終え、その時を静かに待つ311系5編成が 浜松運輸区内で佇む中、背後を ドクターイエローが通過。
一方、解体場には前日(4/15)に壁の内側に重機が移動しており、 本日(4/16)内装部分の手入れが始まった模様で、近日中に本格的な車体解体作業が再開になるかとみられる。 pic.twitter.com/WXksgyfDyw— moOn(む~ん)らいと東海 (@newesthmm2) April 16, 2024
いやあ、ほんとついでのはずだったんですけどねえ、、、来てしまいましたよ。JR東海車両の墓場こと西浜松(浜松運輸区)の解体線。来るつもりはなかったのに、もはや末期ですね。キハ85も見る限り5両残ってますが、もう既に永眠の状態です。残骸があちらこちらに、、、#西浜松 #解体線 #JR東海 pic.twitter.com/JhlQj1v56r
— 勇佑 (@5dabz1sdXdctNnz) December 10, 2023
写真右手前の砂利エリアが交番検査庫の跡地となります。西浜松駅の輸送本部が入居する写真左の建屋は、元々浜松機関区が入居していました。現在占有しているのは、機留線がJR東海、建屋がJR貨物となっています。
旅客会社、貨物会社、いずれが所有する線路なのかは、枕木を見れば大方分かります。貨物会社は鉄枕木を積極的に入れており、旅客会社は鉄枕木を使わないからです。旧・浜松機関区の機留線は新しいPC枕木が見られるため、JR東海の所有と考えられます。
一方で、運転職場は先ほどの浜松機関区の建屋に、JR東海の浜松運転区と、JR貨物の西浜松機関区→浜松総合鉄道部がありましたが、移転・廃止されており、かつて浜松総合鉄道部へ統合されていた西浜松駅だけが残っています。
場所を呼ぶときの基準
ここで、場所を呼ぶときの基準について考えると、大きく2つあるのではないかと思います。
1.施設管理をしている組織名
2.施設で仕事をしている組織名
例えば、外壁に掲示があれば、施設管理をしている組織名が出ていることがありますが、これが施設で仕事をしている組織名と合致するわけではありません。
昔、商業誌で東京総合車両センター田町センター(当時)が紹介された後、当該の場所が東京総合車両センター田町センターではなく、品川駅管理の留置線である旨の社員の声が掲載されたことがありました。労組資料等から、東京総合車両センター田町センターは構内での仕業検査などを行っている職場で2に相当(その後JETS田町事業所へ委託され田町派出になったようですが)し、品川駅は1に相当していることが分かります。
このように、趣味では、施設で仕事をしている組織名で施設そのものが呼ばれていることが往々にしてあります。
関係が薄れていく浜松運輸区
自然に考えれば、浜松運転区が旅客エリア、西浜松機関区または西浜松駅が貨物エリアの施設を管理していたはずです。そうすると、電留線と旧浜松機関区の機留線は一体的に浜松運転区が施設管理をしていたのではと思います。
ところが、その後、浜松運転区は浜松運輸区となり、浜松駅前に移動してしまいました。
浜松運転区時代の名残で、浜松運輸区が仕業検査や施設を管理していた時期もあったかもしれません。
しかしながら、昨今、会社を問わず運輸系統と検修系統の組織を分ける動きがあり、最近の報道では静岡車両区浜松派出との組織名が出ています。
電留線で仕業検査をしているのは、浜松運輸区ではなく、静岡車両区浜松派出なのではないでしょうか。
こうなってくると、いよいよ浜松運輸区と電留線の関係は見えなくなります。昨今のイベントでは、電留線は「浜松駅西電留線」として浜松運輸区とは別に、浜松駅が管理しているような名前で紹介されています。
詰所の表札を見ると「西浜松電留線詰所」とあり、この「浜松駅西電留線」が別の名前でも呼ばれていることが分かります。
解体場所は「西浜松」「浜松」どちらなのか
今まで出てきた名前を並べると以下の通りです。
- 旧・浜松機関区→1として正しい
- 西浜松電留線→機留線と電留線が一体なら1として正しそう
- 浜松駅西電留線→機留線と電留線が一体なら1として正しそう
- 静岡車両区浜松派出→機留線と電留線が一体で、浜松派出が仕業検査職場なら2として正しそう
- 浜松運輸区→施設管理または仕業検査を引き続き担っていなければ1・2として怪しい
- 西浜松駅→分割民営化以降は1として怪しい
- 旧・西浜松機関区→1として怪しい
旧・浜松機関区が個人的には一番しっくりときます。ただ、タイトルに立ち戻ってあえて結論付けるとすれば、(1)西浜松が西浜松電留線、浜松が浜松駅西電留線を略したものであれば、確からしさは変わらない、(2)西浜松駅と浜松駅であれば後者のほうが確からしいと思います。
社内では施設管理箇所は一意に決まっているはずで、記事を読んで笑われているかもしれません。
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