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廃車された車両はどこで解体されるのか

施設動向

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今年に入ってから、E217系や209系、185系などの運用離脱車が長野総合車両センター(NN)などに配給されるケースが相次いでいます。E217系の場合は、NN配給後に多くが解体されている一方、本稿執筆時点で185系は解体が確認されていません。今回は、JR東日本の廃車両の解体機能を有する区所について整理をし、今後の車両動向の予測の一助としたいと思います。
※情報の誤り等がありましたらコメントをお寄せ頂ければ幸いです。

総合車両センターについて

JR東日本管内には、以下の6つの総合車両センターが存在しています。
・東京総合車両センター(TK)
・大宮総合車両センター(OM)
・長野総合車両センター(NN)
・郡山総合車両センター(KY)
・秋田総合車両センター(AT)
・新幹線総合車両センター(SD)
また、その他にも多くの車両センターが存在しています。

総合車両センターと他の車両センターの違いは、その業務内容が大きな違いとなります。
総合車両センター(国鉄時代の工場に相当)では、重設備を必要とする検査が行われ、車両センター(国鉄時代の電車区に相当)では、日々の車両管理が行われます。
JR東日本の新保全体系においては、90日毎・360日毎に行われる「機能保全」が車両センターで行われます。(旧保全体系の交番検査に相当)
総合車両センターでは、走行距離60万km毎に行われる「指定保全」、120万km毎に行われる「装置保全」、240万km毎に行われる「車体保全」が行われます。(旧保全体系の重要部検査・全般検査に相当)
機能保全では、車両の消耗品や機能の確認が行われ、指定保全〜車体保全では、主要機器の保全、車両の更新が行われます。
以上のように、総合車両センターと他の車両センターでの業務を区分し、メンテナンスの効率化が図られています。

車両の解体について

そのような車両センター・総合車両センターですが、車両の解体が可能である区所は、主に以下の6区所となります。
・長野総合車両センター(解体例多数)
・郡山総合車両センター(解体例多数)
・秋田総合車両センター(解体例
・盛岡車両センター青森派出所(解体例
・東京総合車両センター(解体例
・新幹線総合車両センター(解体例多数)
・新潟新幹線車両センター

大宮総合車両センターについて

大宮総合車両センターには、現在の鉄道博物館の位置に解体線がありました。現在は、先述の通り鉄道博物館になっており、通常車両の解体業務が行われることはありません。

東京総合車両センターについて

東京総合車両センターでは、近年ではE231系4600番台(余剰サハ)の解体例がある一方、通常解体業務が行われることは稀です。
しかし、上記のような例がある以上、解体機能を有することがわかります。

おわりに

以上のように、JR東日本管内には複数の解体区所があります。しかし、上記のような区所に入場したからといって、解体されるかどうかを判断することは現状困難といえるでしょう。
例えば、NNでの解体例は多くありますが、189系元N102編成のように、除籍が確認されても解体されない例もあります。また、通常解体が行われることが稀なTKに入場しても、解体が行われる可能性もあり、より一層廃車解体の予測を困難にしています。
定期的な観察によって、車両の動向を追うことが重要になりそうです。

参考文献

新保全体系の導入による車両メンテナンス革命 −プラットフォームの共通化によるライフサイクルコストの低減の提案−」J-TREC より
解体線の写真」pokeo@大宮 より

追記

5/8、TKでのE217系Y-45編成の解体が確認されました。余剰車・保留車を除く解体例は類がなく、新たな動きとなります。
(参考)東京総合車両センターでE217系が解体中

コメント

  1. 以下、気になりました。
    「検車区」→「電車区」(運転所や機関区、客車区など、配置区は色々ありますが、代表例なら…。)
    「郡山車両センター」→「郡山総合車両センター」
    新潟新幹線車両センターも通常業務で解体しているのではと思います。

    余談ながら大宮工場で解体していた2000年代は、首都圏では高崎総合訓練センター、鎌倉総合車両センターも主要な解体場所で、神栖でも解体をしていました。

  2. KYの件ありがとうございます。
    検車区ですが、JTRECの論文中で検車区と表現されていたのですが、確かに国鉄時代は電車区が一般的ですね。
    新潟新幹線車両センターの件も追記させていただきます。

    2000年代のお話、興味深いです。
    いずれ解体場所の変遷も深掘りできたらと思います。

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