先月JR東日本の新たなハイブリッド式気動車のHB-E220系が公表されましたが、1両あたりの客室窓や車両定員が大きく減少していることが非常に注目されていたようです。
特に後者は同社の電気式気動車のGV-E400系やそれをベースとしたJR北海道のH100形、更にJR九州のYC1系やJR西日本のDEC700形にも見られた傾向で、これら車両形式を製造したメーカーが川崎車両(旧 川崎重工)であることが共通していたこともあり、特に同社が製造した電気式・ハイブリッド式気動車の設計を問題視するような声も見られます。
無論このような反応は鉄道ファン個々人が発信しているものがほぼ全てで、業界ではどのように捉えられているのかは不明ですが、今後製造・開発される電気式・ハイブリッド式気動車で、車両定員の改善を主として取り組むような動きはあり得るのでしょうか?
高崎地区と盛岡地区にHB-E220系を導入
本日、JR東日本は高崎地区と盛岡地区にHB-E220系を導入すると発表しました。高崎地区に2両編成8本、盛岡地区に2両編成6本と1両4本を新製し、2025年度下期から八高線(高崎〜高麗川)、東北本線(花巻〜盛岡)、釜石線(花巻〜釜石)で営業
コメント
定員が重視されない閑散路線向けの車両なんだから別にいいんじゃないですかね?
機器がコンパクトな総車製HVより安価なんでしょうし。
そもそもの前提として、ワンマン化による車内移動の円滑化を目的としたボックス席の1+2列化や快適性向上のためのシートピッチ拡大、トイレ等のバリアフリー設備の拡充により一般形気動車の座席定員は時代が下るとともに減少する傾向にあり、ハイブリッド等の電気式となったことにより新たに発生した問題ではないという点は留意すべきであると強く感じています。
特に気動車の場合、投入線区の性質的にもコスト削減を目的に減車が前提となることが多く、減車分を補うために座席数の確保よりも立ち席スペースの確保による収容力の確保を優先しているYC1系のようなパターンも散見されますから、採算性の悪い線区でも多額のコストを投入できる環境が構築されない限りは本質的な解決には至らないように感じます。
気動車はローカル路線に運用されることが多いのでそんなに定員数を重視しないと思います。だから別にそんなに問題はないと思います!!
座席数に関しては、同じバリアフリー対応設備を備えた両運転台車で比較してもキハ122(33名)よりもGV-E400形(36名)の方が座席定員が多い点や、GV-E402形やYC1系の1100/1200番代といったトイレなし車では機器室により減少している座席は3名分程度しかないという事実を鑑みれば、少なくとも純粋な電気式やバッテリー関連機器を屋根上に搭載してるタイプのハイブリッド式では動力方式の変化自体は座席数の減少にそれほど大きな影響があるわけではない、と捉えるのが妥当なところでしょうか。
よく槍玉に挙げられる車体幅の拡幅についても、やはり座席数増加に寄与する部分は小さい(トイレの長手方向を縮小できることによる2、3名程度分)ことから動力方式以前に事業者の設計思想に起因する部分が大半を占めていると結論付けるほかないように感じます。
そもそもとして現状ですと様々な方式が乱立し、「とりあえず新技術を盛り込んだから導入しよう」的な状況になっているのが実態だと思います。
各路線の特性を分類し、どの路線にどの方式が望ましいか、さらに定員が減少しても問題無い線区、定員が減少すると問題が起きる線区とでそれぞれどのような方式の車両を導入するが望ましいかを示した統一的な基準ないしガイドラインを策定した方が良いのでは、と思います。
とりあえず盛り込んでいるというよりは、まず石勝線脱線火災事故を契機とする脱推進軸の流れが根底にあり、その上でシリーズ式ハイブリッドを理想形としつつも開発時点での技術水準やコストパフォーマンスの面から一部を省略、簡素化するなどして最適化しているといった方が適当でしょうか。
例えばHB-E300やHB-E210が開発された時点ではバッテリーの充放電制御に関する技術(知見)やバッテリーそのものの劣化耐性が成熟しきっていなかった上、リチウムイオン電池の平均価格も現在の5倍以上と非常に高価であったことから、次期ローカル向け量産車ではそれらをオミットしたGV-E400へと繋がった一方で、現在ではEV技術の発展に後押しされる形で技術水準の向上やコスト低下が目覚ましく、動力方式としてはより理想形に近いハイブリッド式のローカル向け量産車がコスト的に許容できる程度には障壁が下がっていると捉えるべきかと思います。
利用者数の減少を食い止める目途がある閑散路線は少ないはずなので、車両定員の改善を主として取り組むような動きはないでしょう。
ただ、国交省はカーボンニュートラルの推進として、限界路線にはディーゼルハイブリッドではなく非化石燃料気動車を類型モデルとしており、
https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001611767.pdf#page=19
バイオ燃料の単行気動車が限界路線に採用される可能性があります。
気動車の電気式化は液体変速機の保守コストが高いという問題のせいなので、燃料が軽油か再生可能燃料かには関係ないですね。
初期導入コストは恐らくまだ液体式のほうが安いのでしょうからそこで判断が分かれるでしょうね。
単行前提・小型軽量のローカル線車両ではかつてのレールバスのようにバス/トラック用エンジンと変速機を採用してコストダウンという選択肢も考えられるかもしれません。
今の所、ハイブリッド車で最大の定員を誇るのは、公式発表300名弱となっている近畿車輛製造のJR四国の新型ハイブリッド車でしょうか?
こちらは2両編成を組んで、拡幅車体とセミクロスシートを採用しています。
また、定員拡大対策として、2両編成を組む事で運転席とトイレの削減をして旅客スペースを増やしているそうです。
これはHB-E220系の2両編成の定員243名を50名ほど上回ります。
E130の頃、20年近く前から単行トイレ付きの乗車定員の少なさは目立っていましたが、特に措置されることなく推移しています。事業者から見れば、編成で見て旅客が乗り切れるかどうかが肝心なのであって、デッドスペースがあっても気にしないのではないでしょうか。