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209系ハエ62編成を訓練車へ改造する理由と今後の動き

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車両動向
機器更新へ向かう久里浜訓練機械。

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209系改造の訓練機械は3編成ありますが、今年度、1編成の追加と、既存編成の郡山総合車両センターでの機器更新への入場が確認されています。今後予測される動きをまとめます。

この記事の最新版について

JR車両動向に移行し、下記の記事にまとめています。
訓練機械の増備と機器更新
元ハエ62編成2両の訓練機械化と、既存の訓練機械の機器更新。

2018年12月に製作した動画

文章と一部写真は下に書き起こしています。
209系ハエ62編成を訓練車へ改造する理由と今後の動き(2018年12月)

ハエ62編成転用先の判明

2018年9月、郡山総合車両センターの一般公開で、209系3000代元ハエ62編成2両の訓練車(訓練機械)への改造が確認されました。
両先頭車から前面オオイ(FRPと呼ばれる部分)、運転室機器を取り外し、中間電動車に取り付けることで2連化を行っていました。

解体されるハエ62編成先頭車

同編成の転用先が分かった理由は、材料の現品票に「訓練車」との記載があったからです。
JR東日本で現状の各種訓練に使っている車両はどれくらいあるでしょうか。

訓練車・訓練機械の現状

まず、新入社員が最初に研修を受ける新白河の総合訓練センターには「E991系」と書かれた209系型の機械(4両編成)があります。
こちらは2000年に川重で製作されました。自走はできません。

次に、車両系(ヘルメットが青帯)の社員が研修に使う「スキルアップセンター」の車両です。
例えば、長野総合車両センター、大宮総合車両センターの205系などで、現車での構造やメンテナンスの方法を教育するために活用されています。

最後に運輸系(ヘルメットが赤帯)の社員が訓練で使う総合訓練センターの車両です。
総合訓練センターには、小型機械を使用している場所、実車を改造した訓練機械(車籍なし)を使用している場所、訓練車(車籍あり)を使用している場所があります。

訓練車の中では、長野総合訓練センターの115系、訓練機械の中では東大宮(東京・大宮総合訓練センター)の元209系、久里浜(横浜総合訓練センター)の元209系、新秋津(八王子総合訓練センター)の元209系が有名です。
各センターには元143系、145系の各機械も存在します。

今回、この総合訓練センター所属の元209系訓練機械に動きが出ています。
3編成が2008年に改造されていましたが、車両ではなく機械であるため、検査入場はせずに10年以上に渡って使われてきました。

入場直前の久里浜訓練機械

訓練機械は走行距離がほとんどなく、車輪の減りなど、走行による影響は抑えられているでしょう。
しかしながら、1990年代以降の新製車では、コンデンサなどを含む電子基板が多用されており、これらは走行距離ではなく、経過時間で寿命が来てしまいます。

そのため、これら3編成はいつか機器更新が必要な状況でした。
しかしながら、訓練機械には予備がありませんので、機器更新中は訓練ができなくなります。
そのため、機器更新の方法を工夫する必要があります。

訓練機械を機器更新する方法

まず、訓練機械を機器に合わせて更新(解体)してしまう方法。
今までの国鉄形式の訓練機械は、143系、145系が多数いたため、使い捨てに近い形で更新が行われてきましたが、209系は機械といえども改造時の費用を償却する必要があり、なかなか厳しそうです。

次に単純に機器更新をする「単純更新」。機器更新に必要な期間、訓練ができません。前例からすると3か月弱は工期が必要です。
支社間で調整をし、訓練日程を変更するか、他支社の訓練機械を使うこととなります。

機器更新中のE231系500番台

最後に、代車を確保して機器更新の間合いを作る「振替更新」。
更新済みの代車を投入して、入れ替わりに機器更新に入場すれば、その訓練センターでは訓練を継続できます。
最終的に余剰車が発生するため、この扱いが気になるところです。

実際の車両動向

実際の車両動向は最後の2案を混在させた形で進んでいます。
首都圏で3編成中2編成の209系改造訓練機械を維持したまま、機器更新を終えるためには、3編成それぞれを1編成ずつ機器更新する必要があります。

前例から、1編成の改造には3か月弱かかりますので、9か月近い期間が必要で、これでは比較的訓練が少ない「下期(厳密にはもう少し後です)」に機器更新を終えることができません。
単純更新では2編成(6か月)が限度です。

久里浜訓練機械の主制御装置

そのため、東大宮(東京・大宮総合訓練センター)の訓練機械を「振替更新」で、久里浜(横浜総合訓練センター)の訓練機械を「単純更新」で賄えば、常に首都圏で2編成を稼働した状態で、全3編成の機器更新が「下期」に可能になります。

まず、冒頭の元・ハエ62編成2両は、東大宮(東京・大宮総合訓練センター)の訓練機械へ転用することが、2018年12月に外装から明らかになりました。機器更新も確認されています。

今後、元ハエ62編成が東大宮に配属され次第、元・東大宮訓練機械が入場することで、東大宮は209系改造の訓練機械が空白なく稼働する形となります。

一方、久里浜(横浜総合訓練センター)の訓練機械は郡山へ入場しており、予備は置かずに改造に入っています。機器更新と思われます。
こちらが出場すると、首都圏の209系改造の訓練機械は3編成に一旦戻ります。

ハエ62編成の検査表記

今後の動き

新秋津(八王子総合訓練センター)の訓練機械は、①元・東大宮訓練機械を更新して転入させ、3月末ごろに「振替更新」することも可能ですし、②1月末ごろの元・久里浜訓練機械の出場後に「単純更新」しても、6月には稼働させることができます。

最後に気になるのが、余剰となる訓練機械1編成の動向です。
新秋津を「振替更新」すれば、元・新秋津訓練機械が、新秋津を「単純更新」すれば、元・東大宮訓練機械が余剰となります。

昨今の基地整理で、総合訓練センターも体制を見直すタイミングに来ているかもしれません。
個人的には、今後数か月で、地上設備の動向から、この余剰車の動向が明らかになるのではと見ています。

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